記事の作成や画像生成、音楽生成、コード生成など、仕事においても趣味や活動の分野でも暮らしのシーンに生成AIが増えてきました。AIと著作権についても考える機会が増えてきたのでメモしておきます。
2024年3月15日付で、文化庁(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)が「AIと著作権に関する考え方について」をウェブサイト上に公表しました。*国立国会図書館サイト Current Awareness Portal に詳細記事、文化庁、「AIと著作権に関する考え方について」を公表(2024年4月18日)があります。
・AIと著作権に関する考え方について(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)
【本文書の留意事項】
今回公表された考え方自体が法的拘束力を有するものではない
公表時点で存在する特定の生成AIや関連技術について確定的な法的評価を行うものではない
今後の具体的な事例や技術発展、諸外国の検討状況の進展等から、必要に応じて考え方の見直し(検討)等を行う予定
◉ 著作権とは
作品(著作物)を創作した者に与えられる権利であり、その作品がどう使われるかを決めることができる権利です。著作権は著作物(作品)が創作された時点で自動的に発生します。日本では著作権の原則的保護期間は著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後70年を経過するまでと定められています。
◉ AIと著作権について
AIが作った生成物に著作権が発生するのか、どんな場合に著作権侵害が成立するか等、まだ法的な議論が十分に行われていない「AIと著作権」。文化庁の資料では、基本的にAIに関する著作権を考える際、以下の3つを分けて考える必要がある、としています。
❶ AI開発・学習段階
❷ 生成・利用段階
❸ AI生成物(AIが生成したコンテンツ)=著作物か
①はAI開発・学習に携わる場合の著作権の考え方なので、一般の多くの人に関連するのは、②生成・利用段階、③AI生成物(AIが生成したコンテンツ)=著作物か、だと思います。
◉ AI生成物に著作権は発生するのか
例)XさんがAIアプリを利用して画像(作品)を作った時、著作権は発生するか?
ここでポイントとなるのは、Xさんに「創作意図」「創作的寄与」があるかどうか。「創作意図」は、作品の創作過程において人の思想や感情等を表現しようとする意図のこと、「創作的寄与」は、創作過程において具体的な表現結果を得るための(人の)働きがあること、という感じでしょうか。
現時点では、Xさんがごく短い単語のプロンプトを入力して画像を生成した場合、当然ながらその画像は著作物とは認められないと考えるようです。一方、Xさんが独自の創作コンセプトを持ち、そのコンセプトに沿ってプロンプトの表現内容を工夫していた場合「生成AIに人が関与(創作的寄与)している」とされ、著作物と認められる可能性が高そうです。
今後、生成AIと著作権の関係を直接的に扱う判例や裁判例が増えるとともに法的解釈も充実し、より具体的に方向づけられていくでしょう。現段階では文化庁の公表見解を参照しながら理解認識を深めていけたらと思います。
参考資料:AIと著作権、AIと著作権に関する考え方について(文化庁)